苔テラリウムで使われる苔の
人気や定番の種類まとめ
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苔は日本国内に全部で1700種類とも2000種類とも言われるほどたくさんの苔の種類があります。苔テラリウムで使われる苔はどのようなものがあるのか。定番中の定番の苔から人気の苔、一度は使ってみたい憧れの苔や特徴的な苔など紹介します。
苔農家・苔作家
こけみざわゆうき
西予苔園
愛媛県西予市野村町という田舎で苔栽培をしている「西予苔園」の苔農家。苔テラリウム向けの苔を10種類程度、庭苔を2種類栽培栽培している。オンラインストアで苔、苔テラリウムの販売、テラリウム容器専門ブランド「Bioloark Japan(バイオロアークジャパン)」の日本販売代理店も行っています。
苔農家であり苔作家。愛媛新聞カルチャースクールにて毎月苔テラリウム講座を開催。YouTubeでは苔テラリウムメイキング動画を配信しています。苔を栽培している知識を活かし苔の生態を生かした苔テラリウムを作っています。
不動の人気の苔3種類
まずは苔テラリウムで使われる苔TOP3の苔をご紹介します。
- ヒノキゴケ
- ホソバオキナゴケ
- タマゴケ
1.ヒノキゴケ
ヒノキゴケ。学術名:Pyrrhobryum dozyanum.
ヒノキゴケは日陰の森林の中に生えているコケです。「イタチノシッポ」と呼ばれることもあるようです。動物のシッポのような株がかたまりとなって見事なコロニーを作っている姿を良く見かけます。
乾燥が強くなると株の葉全体が縮れて、さらに乾燥状態が続くと葉先から茶色に変色しやすい。苔テラリウムでは茶色になった部分はカットするなどメンテナンスすると良いです。
苔テラリウムでは最も使われる苔の一つで、育てやすく環境に馴染むと鮮やかな緑色の新芽が出る姿が楽しめます。
2.ホソバオキナゴケ
ホソバオキナゴケ。学術名:Leucobryum juniperioideum.
ホソバオキナゴケの名前の由来は「細葉翁苔」という漢字表記から、おじいさんのひげのような苔という意味があります。短めの葉がもっこりと密集した姿が特徴的。似た苔にアラハシラガゴケという苔もありますが、その違いは顕微鏡で判別しないとわからないほど。ホソバオキナゴケとアラハシラガゴケを一緒に「ヤマゴケ」という扱いで一緒に扱って流通されることもあります。
苔テラリウムでは最も使われる苔の種類と言っても良いかもしれません。草原をイメージするように植え付けられるような使い方で使い勝手も良く育てやすく、苔といえばホソバオキナゴケ!というくらい、苔というとこの苔の姿をイメージする方も多いのではないでしょうか。
明るめの日陰を好みます。苔テラリウムでは照明の明るさが強すぎる場合や、乾燥が続くと葉の色が白味が強くなります。
3.タマゴケ
タマゴケ。学術名:Bartramia pomiformis.
タマゴケは苔好きの中では一番人気の苔とも言われています。画像のように丸い玉のような胞子が特徴の苔。葉は繊細で細かい葉を広げます。乾燥すると縮れます。
冬に元気になる苔で寒くなる時期に新芽を一斉に出し、鮮やかな黄緑色のコロニーになります。夏場の暑さには弱い面があり、苔テラリウムでも夏場は暑さのため茶色に枯れたようになることもありますが、自然のタマゴケも夏場は茶色に変色しても冬場に綺麗に復活するサイクルを繰り返している様子も見られますので、夏場に茶色になっても冬にまた元気な姿を楽しめるようにお世話してあげると良いでしょう。
定番の苔4種類
さらに定番に使われる苔4種類。脇役的な使われ方だったり縁の下の力持ち的な存在だったり、もちろん単体でも使われます。
- コツボゴケ
- チョウチンゴケ
- シノブゴケ
- ハイゴケ
コツボゴケ
コツボゴケ。学術名:Plagiomnium acutum.
コツボゴケは横に這うような匍匐茎(ほふくけい)と、真上に立ち上がるように伸びる直立茎(ちょくりつけい)の2種類の茎を伸ばす苔です。温かい時期には直立茎がどんどん伸びて立ち上がり元気に成長してくれます。
冬場など寒い時期には匍匐茎がしっとりと伸びながら少しずつ育成の範囲を広げます。
コツボゴケは水を好む苔ですが、水に浸からない程度の環境を好みます。苔テラリウムでは石や流木、壁の上に這わせるような使い方をされます。水を含んだ葉の状態はみずみずしく綺麗で、苔テラリウムではわりと簡単に育成できるため縁の下のちから持ち的な存在で人気の苔です。
オオバチョウチンゴケ
オオバチョウチンゴケ。学術名:Plagiomnium vesicatum.
コツボゴケと同じように水を好む苔ですが、葉の大きさはコツボゴケよりも大型。横に這うような匍匐茎(ほふくけい)と、真上に立ち上がるように伸びる直立茎(ちょくりつけい)の2種類の茎を伸ばす苔です。
葉が大きく水を含んだ状態では透明感がありとても綺麗。苔テラリウムでは水場の表現の際に用いられることが多く、その他には石への着生や這うように伸ばすような表現に使われることが多い。乾燥には弱いので常にしっとりと葉が湿っている状態を保つのが良いです。
コツボゴケもチョウチンゴケ科の同じ仲間の苔ですが、そのほかにコバノチョウチンゴケやツルチョウチンゴケ、コバノチョウチンゴケなどチョウチンゴケ科の苔はどれも苔テラリウムで育てやすく美しい。
シノブゴケ
トヤマシノブゴケ。学術名:Thuidium kanedae.
トヤマシノブゴケはきめ細かい枝葉が特徴の苔。這って増えていくので苔壁や岩に着生させるような使い方で使われることが多い。乾燥に若干弱い面がありますが比較的育てやすい苔です。
シノブゴケの仲間は種類が多く、同じ仲間を総称してシノブゴケとして扱うケースも多いです。
ハイゴケ
ハイゴケ。学術名:Hypnum plumaeforme Wilson.
ハイゴケは庭苔や苔玉に使われるイメージですが、苔テラリウムでも使われます。比較的成長が早く増えるスピードも早いので、流木や石に着生させる使い方をされるケースが多いです。
明るさにも強く育成環境の幅が広いのでどの苔との相性も良いです。ハイゴケにはヒメハイゴケやヒナノハイゴケなど同じ仲間の苔がありますが、見分けるのは意外に難しい苔の代表の苔です。
一度は使ってみたい憧れの苔
苔好きなら一度は苔テラリウムで育ててみたい、苔好きの中で憧れの苔2種をご紹介します。
- オオカサゴケ / カサゴケ
- コウヤノマンネングサ
オオカサゴケ / カサゴケ
オオカサゴケ。学術名:Rhodobryum giganteum.
オオカサゴケは、大型のカサのような葉を広げるかわいい苔で、苔好きの中では苔界の女王様とも言われています。
オオカサゴケと同じ仲間でカサゴケ、カサゴケモノキという種類もあります。オオカサゴケは顕微鏡で葉の縁を観察し対になった鈎歯を確認し判別することができます。
渓谷沿いなど常にしっとりと湿気が得られる沢や腐植土に自生しています。葉が乾燥と紫外線でダメージが出やすく、乾燥するとチリチリに縮れて痛みます。自然界でも乾燥するような場所の自生はあまり見られず、ダメージが出にくい湿気が溜まる場所に広く自生していたりすることがあります。
コウヤノマンネングサと同じように、上に上に伸びる性質がありますので、苔テラリウムで育てる場合は、株の上からさらに新芽が出て上にどんどん伸びていったりするケースや、葉が上手に開かず茎だけ伸びるケースもあります。上手に葉を広げさせるのが難しい場合もあります。
コウヤノマンネングサ
コウヤノマンネングサ。学術名:Climacium japonicum.
コウヤノマンネングサは、苔の中でも最大の苔。見た目はもう苔ではなく草ですよね。これも苔植物なんです。
コウヤノマンネングサは「高野之万年草」というのが和名の漢字表記。その昔、高野山では御札の中に乾燥させたコウヤノマンネングサを魔除けのように使われてきたという由来がある苔で、霊草とも言われています。
コウヤノマンネングサは苔の中では王様のような苔として扱われることも多く、苔好きの方の中でも人気の高い苔です。
苔テラリウムでは涼しくなる時期に良く新芽を出して増えてくれますが、上に上に新芽が伸びる生態があり容器の中で育てると上部につっかえるほど伸びることがあります。その場合はちょうど良い長さになるよう根本をカットするなど長さを調整してあげると良いです。
夏の暑い時期には毛先が乾燥して茶色になりやすいので夏場には霧吹きでしっかり葉先の水分保湿をしてあげましょう。新芽が出た元株は世代交代のため茶色に変色していきますが、それも自然の摂理によるものです。
特徴的で人気のある苔
苔の中にはユニークな苔や好きな人にはたまらない!という特徴的な苔がいくつかあります。その中でも4つの苔をご紹介します。
- クジャクゴケ
- ホウオウゴケ
- ホソバミズゴケ
- フデゴケ
クジャクゴケ
孔雀のような形状をしていることからその名の通りクジャクゴケという名前の苔です。湿った岩壁や腐植土、倒木などに美しい群生を作っている。割と暗めの湿った環境を好みます。
ホウオウゴケ
鳳凰の尾のような形状からその名の通りホウオウゴケ。ホウオウゴケにもいくつか種類があり、割と太めの株の種類から小ぶりなものまであります。水が滴るような場所や渓流の水がかかるような岩場などに自生しています。苔テラリウムでも水を使う作品に良く使われます。
アクアリウム店などで、完全に水中に受け付けた水中化したホウオウゴケが販売されていることもあります。
ホソバミズゴケ
ホソバミズゴケ。学術名:Sphagnum girgensohnii.
ミズゴケの種類は数が多いのですが、複数の地域で絶滅危惧の指定がされている貴重な苔でもあります。中でもホソバミズゴケは湿った岩肌など、湿気はあるがドライな状態の場所に群生を作ることがあり、苔テラリウムでも最近注目されてきています。
植え付けた後に株が定着すると、クラゲのような、妖精のようなフォルムになるので、単体で育てるのがオススメ。定着すると勢い良く増えるので苔壁に植え付けるのも良いです。
フデゴケ
フデゴケ。学術名:Campylopus umbellatus.
フデの先のような形状の株が特徴のフデゴケ。濃い緑色の発色はなんとも美しい苔です。直射日光が当たる日当たりの強い場所にも自生し、湿った場所でも育ちます。
苔テラリウムでは成長はかなり遅いですが、植え付けから2ヶ月〜3ヶ月すると少しずつ芽が伸びて成長しているのがわかります。石に蒔きゴケして着生させるのもよいです。
この他にも魅力的な苔はたくさん!
このページでご紹介した苔たちは、苔テラリウムで割と一般的に使われる苔などをご紹介しましたが、他にも魅力的で個性的な苔はたくさんあります。このページでご紹介した苔以外にもあなたの推し苔となる苔を見つけてみてください。
このページでご紹介した苔は西予苔園のオンラインストアからもご購入可能です。
私が心を込めて苔栽培をしています。価格と量のコスパも良いと思っていますので、ぜひご愛顧頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。
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