苔テラリウムの最適な置き場所と
明るさについて

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苔テラリウムを作った後はお気に入りの場所に置いて飾りたい。だけど置いた場所が苔テラリウムの育成に適しているのか不安という声を良く聞きます。

苔テラリウムはどのような場所に設置したら良いのか、設置場所に適した条件や最適な明るさ、どうしても置きたい場所が最適でない場合はどうするのかの対策について徹底的に解説していきます。

著者のプロフィール

苔農家・苔作家

こけみざわゆうき

西予苔園

プロフィール

愛媛県西予市野村町という田舎で苔栽培をしている「西予苔園」の苔農家。苔テラリウム向けの苔を10種類程度、庭苔を2種類栽培栽培している。オンラインストアで苔、苔テラリウムの販売、テラリウム容器専門ブランド「Bioloark Japan(バイオロアークジャパン)」の日本販売代理店も行っています。

苔農家であり苔作家。愛媛新聞カルチャースクールにて毎月苔テラリウム講座を開催。YouTubeでは苔テラリウムメイキング動画を配信しています。苔を栽培している知識を活かし苔の生態を生かした苔テラリウムを作っています。

苔テラリウムを育成するための最適な場所と条件

まずは苔テラリウムを育てるのに適した場所や条件などを解説します。

北向きの窓際

北向きの窓は1年を通して直射日光が射しません。自然光で苔テラリウムを育てるのには最適な明るさなのが北向きの窓。一番明るい時間帯では2000Luxを超えますが、一日を通して明るすぎない柔らかい光となり苔テラリウムを育てるには適しています。

正確な北向きでなくても、北西〜北東の範囲内の窓際であれば問題ありません。

ただ、北向きの窓が無い場合もありますし、北向きの窓があったとしてもそこが置きたい場所であるとは限りません。まずは目安として北向きの窓がある場合は、その場所が苔テラリウムにとっては最適な条件の明るさの場所であるということを把握していただければと思ってご紹介しました。

もう少し最適な場所を深堀り

さらにもう少し解説します。苔テラリウムに最適な置き場所の条件を示すと以下のような条件になります。

苔テラリウムを設置場所の最適な条件
  • 明るさ:500Lux〜1500Lux(平均)
  • 直射日光が入らない
  • 0℃〜30℃
  • 空調が1日かかっている場合は容器内の湿度に注意する

これらの条件であれば苔テラリウムを育てる上では最適です。

上記の条件が揃っていれさえすれば、苔テラリウムを育成するにはどのような場所でも適していると考えられます。全く陽が射さない真っ暗な寝室のような場所でも、明るさと気温、容器内の湿度が保たれていればLEDライトを活用すれば問題なく育成可能です。

苔テラリウムを育成するための明るさについて

苔テラリウムを育てる上での最適な明るさについては、照度計など明るさを計測する機器を持っていない場合は、置きたい場所の明るさで苔が育つのか判断がつかないケースが多く不安になる方もいらっしゃると思います。

苔が上手に育つための明るさの見極め方として北向きの窓の明るさが基準になりますが、窓から離れた場合はどうなのでしょうか。

基本的には窓がある部屋であれば苔テラリウムの容器の中にも間接的に自然光が入り込みますので、極端に暗い場所でなければリビングやキッチンのような場所でも問題なく育成できるでしょう。

以下のページでも明るさについて解説していますが、人が生活する上で快適に過ごせる明るさであれば苔テラリウムは問題なく育成できます。

上記の参考ページでも解説していますが、もし設置している場所が苔にとって暗い場合はひょろっと育ったり、明るすぎる場合には光合成を抑制しようとして苔の色が黄色みが強くなったり白っぽくなったりと色に変化が出てきます。

そのような苔の表情を見ながら設置場所が適しているかどうかを判断するようにすれば良いかと思います。

苔にとっても最適な明るさは違う

苔テラリウムを育てる最適な明るさは以下のような表現をされる場合が多いです。

  • 1000Lux〜1500Lux
  • 明るい日陰
  • 本が読める明るさ
  • 半日陰

このページでも1000Lux〜1500Luxという表現をしていますが、厳密にいうと苔テラリウムで使われている苔の種類によって最適な明るさが違うので、おおよその範囲で問題が無いであろう明るさの範囲として1000Lux〜1500Luxという言い方をしています。

苔が自生している場所を計測すると、苔によって最適な明るさというのが見えてきます。

苔の種類と自生する明るさの例
  • ヒノキゴケ→250Lux〜500Lux
  • オオカサゴケ→350〜500Lux
  • タマゴケ→500Lux〜750Lux
  • ホソバオキナゴケ→750Lux〜1000Lux
  • コウヤノマンネングサ→1000Lux〜1300Lux

※上記参考値は10月頃の正午時点の実測値を元にしています

このように、苔によって好んで自生する明るさは違っているのですが、苔テラリウムを育てる上ではひとくくりにして最適な明るさを言う場合がほとんどなので、おおよそどの苔も比較的良好に育てられる明るさを表現しようとすると幅をもたせた表現となってしまいます。

一般的に「苔テラリウムに適した明るさは…」という記述がある場合は、上記のように幅をもたせた表現であるということを前提として捉えておき、実際育てる苔テラリウムに合わせて、微調整をしながら育てていくというのが現実的に最適だということを理解していただければと思います。

直射日光は絶対に避ける

苔テラリウムにとって直射日光だけは絶対に避ける必要があります。

苔テラリウムで使われる苔は、さきほどの明るさの解説でも述べたとおり割と暗い場所から日陰で育つ苔がほとんどです。直射日光は苔にとっては明るすぎるためダメージが出てしまいます。

それと合わせて、苔テラリウムのガラス容器に直射日光が当たると、ビニールハウスのような状態になってしまい容器内がすぐに高温になり苔が茹で上がった状態になります。

『太陽の光を当てたほうが良く育ちそうだ』と思われて苔テラリウムをダメにしてしまう方が一定数いらっしゃるので、直射日光や、反射的に強い太陽光に当たるような場所は避けるようにしてください。カーテン越しの太陽光などもNGです。

照明を使う場合は明るすぎにも注意

暗い場所や明るさが足りない場合はLED照明を使われるケースがあるかと思います。苔テラリウムで照明を使用する場合は以下の記事に苔テラリウムに最適なオススメの照明器具をご紹介していますので参考にしてみてください。

こちらのページで紹介している2つの照明器具は苔テラリウムを育てる上では最適の照明器具です。

これらの照明器具以外を使用される場合で良く失敗されているケースとしては、一般的な植物育成用のLEDライトや水草を育てるための照明器具を苔テラリウムに使用されて、明かりが強すぎて苔にダメージが出る場合です。

このような一般的な植物を育成させるために光合成を活性化させる目的の強力な植物用ライトは苔テラリウムには不向きな場合が多いです。

光が強すぎると苔は光合成できなくなる

一般的な植物を育てるためのライトや水草用のライトなどは、光合成の効果を高めるために強い光量で植物を照らします。一般的な植物や水草であれば最適な光量でも、苔にとっては強すぎる光となります。

強すぎる光を浴びてしまうと苔はどうなってしまうのかというと、苔は光合成を抑制しようとして身を守ります。自ら葉緑素をへらして苔の色が黄色みを帯びたり、白っぽい色に変色していきます。

明るすぎる場所に一定期間置いていた苔テラリウム。オオカサゴケの色が黄色が強く出て光合成を抑制しようとしている。一部は茶色に変色仕切っている。
明るすぎる場所に一定期間置いていた苔テラリウム。オオカサゴケの色が黄色が強く出て光合成を抑制しようとしている。一部は茶色に変色仕切っている。
栽培中のヒノキゴケ。明るすぎる場所で栽培しているとこのように葉先から茶色に変色していく。

それ以上強い光を浴び続けると茶色に枯れたり真っ白になってダメージが出てしまい苔は成長できなくなってしまいます。

苔は弱い光の中で光合成できる能力を持っている植物ですので、日陰で育つ場合がほとんどです。照明器具を使う場合は明るすぎないように光量を調整するようにしましょう。

設置する場所で影響が強い要素

明るさ以外にもお部屋の環境で苔テラリウムに影響が出やすい要素を解説します。

空気の流れが強い場合

24時間換気が作動しているようなお部屋や、常に空気の対流が発生しているお部屋の場合は、苔テラリウムへの影響が出やすいです。

人にとってはあまり実感ができないレベルでも、常に空気の流れが発生しているような場所では苔テラリウム内の乾燥するスピードが早くなることがあります。

1週間に1回の霧吹きでも、どうも容器内の苔が乾燥気味のような場合は空気の対流が発生している可能性が高いです。

その場合の対策としては、以下のような対策をするようにしましょう。

空気の流れが強い場合の対処法
  • フタの隙間などが調整できるようなら、フタの隙間を無くすように調整する。
  • 霧吹きの回数を増やす。

熱が発生しやすい部屋の場合

特殊な例ですが、飲食店や販売店などに設置する場合で、厨房機器や陳列什器などで常に排熱が発生しているようなお部屋の場合も苔テラリウムの容器内が乾燥しがちになります。

そのような場合も空気の流れが強い場合の対処法と同じように対処してあげてください。

設置する場所の環境を考慮しながら最適なお世話方法を模索しよう

苔テラリウムの設置場所や明るさについての要素を深堀りして解説してみました。

近年の住宅環境などは高気密高断熱となり、24時間換気などが稼働しているようなお部屋も増えてきましたので、明るさや霧吹き回数などに気をつけていても、その設置する場所にとっては乾燥するスピードが想定よりも早かったり、湿度が低すぎて容器内の環境が乾燥傾向になりやすいなど、マイナー要因によるトラブルなども良く発生します。

最適なメンテナンス方法などの一般的なお世話の方法を前提としながらも、実際に設置される場所に合わせてお世話のやりかたを微調整しながら、その場所にあった苔テラリウムのお世話方法を模索するのがなにより大切になってきます。

難しそうに感じますが、実際にはそんなに難しくなく、苔の表情を見ながら日々しっかり様子をみていけば自然に最適なメンテナンス方法が見えてきますので、じっくり長い時間をかけて苔と対話しながら上手にメンテナンスしていただければと思います。

照明器具付きテラリウム容器。Bioloark PD170の作品。

苔テラリウムのはじめかたと楽しみ方

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