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コウヤノマンネングサの自生環境のレポート

私の住んでいる愛媛県に、四国カルストという場所があります。ここで自生するコウヤノマンネングサを発見しました。

自生している環境など調べた限りをレポートしたいと思います。

コウヤノマンネングサとは


※観察・確認用に採取した個体

苔とは思えないほど大型の苔で、見た目は草のようですがれっきとした苔です。苔の中では最大級の大きさ。

小型のヤシの木のような姿をしており、苔好きの間でも人気の苔です。


※観察・確認用に採取した個体

高野山では、霊草として乾燥したものが守護札にされていたことが名前の由来だそう。

たしかに、見た目もただならぬ風格があり、なんだか御利益がありそうな雰囲気です。

その見た目からか苔ファンの間でも人気が高い苔で、自生しているコウヤノマンネングサは乱獲などされやすく全国的に個体数が減少。準絶滅危惧種に指定されるほどに個体数が減少しているようです。

コウヤノマンネングサの基本データ

苔愛好家のバイブルである大型コケ図鑑「日本の野生植物―コケ」のコウヤノマンネングサの項目を引用すると以下の通りの記述です。

大型で美しい。一次茎は地中を長くはい,小さな鱗片状の葉と多くの仮根をつける。二次茎は長さ5-10cm,上部は湾曲し,多くの枝を樹状に出し,枝先は一般に細く尖る。二次茎の下方の葉は鱗片状。二次茎の基部から新しい茎を出す。枝葉は幅広い基部からやや狭い三角形〜披針形に伸び,長さ2.5mm以下、細く尖り,基部には縦ひだがあり,両翼は多少耳状。葉縁の上半部には鋭い歯がある。中肋は葉先近くに達し,背面に少数の歯がある。葉身細胞は狭菱形〜線形,長さ38 – 55 μm,やや厚壁。めったに蒴をつけないが,蒴柄は茎の上部に2 – 10本つき,赤褐色で長さ2 – 3cm。蒴は円筒状でやや傾くが,ほぼ相称。軸柱は長くて蒴の口から突出する。外蒴歯の上下にパピラがあり,下半部は平滑。胞子は径13 – 16μm。[染]n=11。山地の林下の湿った土地に群生する。[分布]北海道〜九州;朝鮮,シベリア,中国。[ノート]和名は,高野の万年草の意。

平凡社 日本の野生植物―コケ 岩]月善之助著 より引用 –

品種

イヌマゴケ目
コウヤノマンネングサ科
コウヤノマンネングサ属
コウヤノマンネングサ
和名:高野之万年草
学術名:Climacium japonicum

形態

5cm〜10cmほどの大きさで樹木のような形で立ち上がるのが特徴。葉は針状に2cm〜4cmほどに広がる。

地下茎で地中を這い2次茎はぴんと伸び小さいヤシの木のような形になる。

生態

落葉樹林などの湿った日陰〜半日陰を好み、渓谷や沢の斜面、谷など常に空中湿度が高く湿った土中に群生する。

成長形態

仮根を持つ地下茎を地中の中で伸ばし長く這います。地下茎から2次茎がスッと直立して伸び繁殖していきます。

分布

北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、シベリア、中国大陸。

コウヤノマンネングサの自生ポイントの状況

では、私が出会ったコウヤノマンネングサの自生していた環境などを詳しく解説していきます。

発見した場所

四国カルストのとある場所で見つけました。

車でドライブがてら、苔や植物が綺麗なポイントなど気になるポイントがあると車を止めて、その場所の観察をするのが趣味なのですが、まさにたまたま気になったポイントを散策中に目に入ってきたのがコウヤノマンネングサでした。

自生しているコウヤノマンネングサを見つけるのは初めてで、とても興奮したのを覚えています。

このレポートでは、場所の特定がされないように自生ポイントの場所はぼかしながら、育成している環境など私が観察した範囲でレポートできればと思います。

自生していた環境

周囲の環境

標高約1200m。令和2年5月1日。快晴。午前7時〜9時頃の観察。

北向きのブナの木が生えている林の斜面で、その林の谷の1番低い場所にピンポイントで群生していました。

赤い囲み部分のみに密集して群生。

他の場所にも生えていないか、この小さな谷に入って周囲を入念に観察しましたが、この赤く囲んだポイント以外での自生は見つけられませんでした。

コウヤノマンネングサが群生しているポイントの上にはこのような小さな谷っぽい感じになってます。水が流れたりするような沢や川は無いですね。

同じような環境なので、もう少し広く分布していても良さそうなのですが、このポイントでしか自生しない要因があるのかもしれません。

ちなみに、文献などを見ると沢や川の周囲など水場のあるような場所に自生しているような記載が多いのですが、このポイントは水場らしいポイントがありませんでした。

光の入り方

北向きの斜面ですので直射日光は入りにくい場所ですが、林の木々の間から木漏れ日が差しコウヤノマンネングサの群生ポイントにも、木漏れ日が差している状況が確認できました。

正午の1〜2時間の間、太陽が頭上に出てくる数時間だけは天気が良い日には直射日光が入るのではないでしょうか。

いわゆる「明るい日陰」もしくは「半日陰」と表現される範囲の光の当たり方だと思われます。

照度計で明るさを計測したのですが、快晴の状態でこの明るさでした。

朝7時頃。日陰のポイントで計測。温度華氏66.7℃=摂氏19.2℃ 光度2957Lux

朝9時頃。日陰のポイントで計測。温度華氏75.0℃=摂氏23.8℃ 光度4256Lux

朝9時頃。日が当たるポイントで計測。温度華氏74.4℃=摂氏23.5℃ 光度12800Lux

土の状況

コウヤノマンネングサが自生しているポイントの土をすくって確認してみました。

湿り気のある腐葉土に砂と土が混じった感じです。

この日は良い天気が長く続いた日でしたが、そのような状況でも土は完全に乾燥していない環境です。

土の酸度を計測

土壌酸度計で土の酸度を計測してみました。

結果はほぼPH6.9ほど。

四国カルストの土で、アルカリ性に寄っていたりするのか?と思いましたがほぼ中性でした。

一緒に生えていた植物

画像でもおわかりの通り目立つ植物としては

  • ブナの木
  • クマザサ

です。

ブナ林の中に、下草としてクマササが生えていて、その間にコウヤノマンネングサが生えてる感じです。

コウヤノマンネングサと合わせて、ハイゴケも群生していました。

それと、群生しているコウヤノマンネングサの中に、こんなのが生えてました。

フサスギナでしょうか?

一緒に群生していたほかの苔

コウヤノマンネングサが自生しているポイントで確認できた他の苔

  • タマゴケ
  • フデゴケ
  • ハイゴケ
  • ウマスギゴケ
  • シノブゴケ

などなど。

などです。

最後に

このような感じで、コウヤノマンネングサに出会えたことがきっかけで、自生している環境のレポートをしてみました。

今回、コウヤノマンネングサとの出会いにより、野山の散策の楽しさをより一層感じたきっかけとなりました。

今後も、コウヤノマンネングサに限らずですが、他にまだ出会ったことのないコケとの新しい出会いを楽しみに、野山の散策などを続けてみたいと思います。

最後になりましたが、コウヤノマンネングサやその他のコケも近年のコケブームなどにより乱獲され少なくなってきているそうです。

コケは、その姿を作るのに想像以上に長い年月をかけてゆっくり成長していきます。

美しい野生の山野草は国民の財産として自治体の条例などにより守られています。

異常気象による水害や土砂崩れなどでもコケが減少している昨今、心ない乱獲などが起こらないよう祈るばかりです。

コウヤノマンネングサの自生地を探しに登山

他の場所ですが、コウヤノマンネングサの自生地を探しに登山した際の動画はこちら。

コウヤノマンネングサの栽培に成功しました

2021年5月より、念願のコウヤノマンネングサの栽培に成功し販売中です。

希少種の苔「コウヤノマンネングサ」の人工栽培に成功し販売開始しました

コウヤノマンネングサを使った苔テラリウム制作キットも販売中です。

苔テラリウム制作キット「コウヤノマンネングサの岩」を発売しました

ありがとうございます。

コウヤノマンネングサの上手な育て方の最新記事はこちらから

苔作家兼苔栽培農家が教えるコウヤノマンネングサの苔テラリウムでの育て方、増やし方

2 COMMENTS

松村美紀

コケの育て方を探していて、このホームページにたどり着きました。自然の中のコケについて知りたいと思っています。愛媛はとても素晴らしい自然があるので、コケの観察会などを開催される予定はないのでしょうか。あればぜひ参加させて頂きたいと思います。

返信する
seiyokoke

コメントありがとうございます。

愛媛は海も山も渓谷やカルスト台地なども広がっていて多様な自然があり、苔の自生についても多様な種類が確認できる地です。
私個人的にも、愛媛の様々な自生地について巡ってみたいものの、時間の都合でなかなかフィールドワークできていないのが現状です。

時間的に余裕があれが苔観察会なども行ってみたいのですが、現状は私にそのような余力が無く…開催する予定はございません。

誰かやってくれないでしょうかねー…

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