苔テラリウムで人気のコウヤノマンネングサ。
実際に育ててみた方ならわかるかと思いますが、夏になると茶色に変色して上手に育てられないという方も多いのではないでしょうか。
コウヤノマンネングサはなぜ茶色に変色してしまうのか?といったことや、その後のメンテナンス方法、コウヤノマンネングサの増やし方や栽培の方法などを紹介していきたいと思います。
この記事を書いてから、コウヤノマンネングサの栽培も安定し、栽培技術や上手に育てる方法もさらに安定した方法が見えてきました。コウヤノマンネングサの育て方を、改めて新しい記事にしていますので、こちらの記事を参考にしていただければと思います。
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コウヤノマンネングサの基本的な情報
まず、少しコウヤノマンネングサのことについて解説します。

コウヤノマンネングサ
イヌマゴケ目
コウヤノマンネングサ科
コウヤノマンネングサ属
コウヤノマンネングサ
和名:高野之万年草
学術名:Climacium japonicum
コウヤノマンネングサの特徴

コケの中では1番大型のコケで、ヤシの木のような形をしている。
一次茎は地中をはって伸び多くの仮根を付ける。
二次茎は直立して伸びるが、葉の上部は湾曲する。茎の高さは5-10cmほど伸び、多くの枝を付ける。
フロウソウと似ているが、フロウソウは一般的にはコウヤノマンネングサより低く二次茎の上部は湾曲しない。枝端があまり細くならずもっさりしている。
コウヤノマンネングサの自生地の特徴
山地の半日陰〜日陰で、樹木の下の腐葉土上に生息する。

空中湿度が高い場所を好み、かつ風通しの良い場所に群落を作る。
渓谷や川の斜面などに生息しているというのが一般的な記述に良くありますが、私が知る愛媛県内の自生地では、渓谷沿いの少し離れた斜面、高地の落葉樹林の下などに自生しているのを確認しています。
生育環境を見ると、広い範囲に広がって生育している姿は見られず、生育ポイントは限定的にその箇所のみに集中しているという生育状態でしか見たことがありません。愛媛県ではかなりレアなコウヤノマンネングサですが、以前から自生しているというポイントに行っても全く見られなくなっているポイントも複数あり、確実に自生ポイントは減ってきていると感じています。
以前に、私が見つけた愛媛県で自生しているコウヤノマンネングサの自生地を詳しく調査しましたので、気になる方はこちらもどうぞ。
コウヤノマンネングサが茶色に変色するのはなぜ?

自生しているコウヤノマンネングサを持ち帰って育成しようとしても、葉がすぐに茶色に変色することが多いです。
苔テラリウムでも、育てていくうちにコウヤノマンネングサが茶色に変色してしまうという方も多いと思います。
コウヤノマンネングサが茶色に変色する要因は以下の4つです。
- 夏の暑さ
- 乾燥
- 風通しの悪さ
- 倒れる
夏の暑さ
コウヤノマンネングサは冷涼な場所で生育しており、夏場の暑さには弱いです。
特に夏場にかけて茶色に変色しやすくなります。夏の気温が30度を超えるような日が連日続いたりすると、その暑さで葉が痛み茶色に変色していきます。
乾燥
自然に自生しているコウヤノマンネングサは、空気中の水分量が豊富な場所に生育しています。朝霧が濃い場所や高地で霧が発生するような場所に育成していますが、乾燥には非常に弱いです。
コウヤノマンネングサの葉をよく見ていると、乾燥している時は葉がうろこ状に閉じているのがわかります。

湿度が足らず空気が乾燥している時には、このように葉が閉じて尖ったような形状になります。
乾燥からコウヤノマンネングサ自身の水分を逃がさないようにするためでしょう。
このように葉を閉じたコウヤノマンネングサに霧吹きで水を直接かけると、すぐに葉を広げていきます。

乾燥している状態が続いたとしても、落葉樹などの葉が土を覆っているような環境を好んで生育しているため、空気が乾燥している状態が続いても土の水分は一定に保たれており、自然に美しい群落を維持しているものと思われます。

風通しの悪さ
コウヤノマンネングサが生育している環境に共通しているのは風通しの良い場所であることです。

いつも空気の流れが良く、風が抜けるような開けた場所で育成しているため、風通しの良さにも気を付けて育てなければいけません。
私が育てているコウヤノマンネングサの苔テラリウムでも、冬の時期でたっぷり水を与えていても茶色に変色することがあります。これは風通しが悪いのが要因です。
フタ付きの密閉型の苔テラリウム容器などの場合は、茶色に変色しやすい傾向がありますので、私は毎朝フタを取って新鮮な空気が入るように気を付けています。
夏の暑さ、空気中の水分量に加え、風通しの良さにも気を付けておくと良いでしょう。
倒れてしまう
コウヤノマンネングサは大型の苔で、大きいものになると高さが10cmを超えるような高い株もあります。
自然に育成しているコウヤノマンネングサは、地中の一次茎で繋がって群落を作り、お互いが支え合いながら直立しています。
一方、苔テラリウムなどで使用するコウヤノマンネングサは単体で植えられることが多く、大きな葉を広げている個体になると、植え付け具合によっては倒れてしまうことがあります。
倒れてしまった株は、垂直に成長することができなくなり、倒れた状態で途中の茎や葉先から新しい芽を出そうとし始めます。
そうすると、葉が茶色に変色しはじめてくる傾向があります。

恐らく、親株が倒れてしまうと親株は自分の成長を止めてしまい、再び新しい芽を出そうとしているのでは?と推測しています。倒れたことで本体の親株は成長を止めるために茶色に変色しやすくなるのではないでしょうか。
倒れてしまった株の葉は茶色に変色することが多いので、私はそのように推測しています。
自然に自生しているコウヤノマンネングサは、年数を重ねて地下茎で何株も繋がっている株が存在しますが、直立を保っている場合は親株も新しい株も綺麗な緑色で育成しています。
上手に育てられているコウヤノマンネングサは、親株も新しい株も変色せずに何年も育成してくれるのではないかと思います。
倒れてしまったり、狭い容器の中で葉が圧迫されてしまわないように育てていくのも茶色に変色させないポイントでしょう。
茶色くなったコウヤノマンネングサの復活方法とは

茶色に変色してしまった場合、多くの方が「枯れてしまった」と思われているかと思います。
枯れてしまったといってそこで育成を止めてしまうのはもったいないです。
なぜなら、コウヤノマンネングサに限らずですが、苔は茶色に変色してもそこからまた復活するからです。
茶色に変色しても新しい芽を出すのがコケの特徴
ここで言う復活とは、茶色に変色した葉がまた元の緑色に戻るという意味ではありません。
茶色に変色してしまったコケは、同じ個体が茶色から緑色の葉に戻ることはありませんが、茶色に変色した個体から新しい芽を出し、新しい個体に生まれ変わってくれます。
苔は育成環境が合わない場合は枯れたように茶色に変色しますが、その状態からでも環境さえ合えば、また新たに芽を出し再生する力を持っています。
茶色に変色してしまったら、新しい芽を出すチャンスだと思って今までと同じように育ててみてください。

葉からも次々を緑色の新芽が出てきているのも見える。
コウヤノマンネングサが茶色に変色したら
コウヤノマンネングサの場合は、茶色に変色してしまった場合は
- 水をたっぷり与え続ける
- 少し液肥を与えてみる
このようにしていくと、新芽を伸ばしはじめます。
季節的な要因もありますが、コウヤノマンネングサは特に5月〜8月にかけてもっとも勢いが良く新芽を出してくれます。
しかし、それ以外の季節でも新芽は出してくれます。たっぷり水を与えてあげれば少しずつですが新芽を伸ばす姿を通年見せてくれます。

コケテラリウムで育てるコウヤノマンネングサは初夏と冬の2回新芽を出します。そのタイミングについて気になる方はこちらもチェック
新芽を出すと親株は茶色に変色する?
コウヤノマンネングサは元の株から地下茎である一次茎を伸ばし新しい株を出してくれます。
新しい株は1年に基本的に1株、多くて2〜3株増えることもあります。
その際に良く言われるのが
ということ。
これは、苔テラリウムのような栽培環境で良く見られる現象です。
ただし、自然に自生するコウヤノマンネングサの株を見ると、5株も6株も連なって活き活きと生育している株を見ることができます。

新しい芽を出すと親株が茶色に必ず変色するのではなく、生育環境によって親株は茶色に変色する場合もあり、緑色のまま株を増やしていくものもあるということです。
ではなぜ、苔テラリウムの場合や家庭で育成している場合に親株が茶色に変色することが多いのでしょうか?
明かな原因は私にもわかりませんが、新芽を出して成長していく際に、コウヤノマンネングサは毎日驚くほど新芽を伸ばし成長していきます。
その成長スピードに対して水分や養分などの摂取が成長に追いつかない場合に親株が茶色に変色してしまうのではないか?というのが私の思う所です。
ですので、私が育成している苔テラリウムのコウヤノマンネングサや、栽培圃場で栽培しているコウヤノマンネングサについては、定期的に液肥を与えています。

ただし、あげすぎると苔テラリウムの場合は藻やカビのリスクも高まります。液肥をあげる場合はごくごく薄い量でたまにあげる程度にとどめましょう。
これで、新しい株を伸ばす際に親株の変色を防げるのではないか?と思って栽培しています。
当農園の栽培中のコウヤノマンネングサは、親株も緑色のまま栽培できないか?と色々と試しています。
まだ栽培しはじめて1年経過していない状態なので、今栽培している株がどのような成長を見せてくれるのか、観察して経過を報告していきたいと思います。
せっかくなのでコウヤノマンネングサを増やしてみよう
お手元にあるコウヤノマンネングサがもし茶色に変色してしまった場合、せっかくなのでその株を元にコウヤノマンネングサを増やしてみましょう。
茶色に変色した株は、そのまま育成を続けても環境が合えば地下茎、もしくは株元から新芽を伸ばしてくれると思いますが、刻んで蒔きゴケする方法でも株を増やすことができます。
刻んで蒔きゴケする
茶色に変色した株の茎の部分を2〜3cmほどの間隔で刻みます。葉の部分は細かく刻みすぎると芽が出る時間がかかってしまいますので、葉の部分はそのまま切って1株まるごと蒔きゴケにします。

そうすると、茎は刻んだ本数分新たな新芽を出してくれますし、葉の部分はそこからニョキニョキと数本の新芽を伸ばしはじめます。
少し時間はかかりますが、1本の株から3〜5本は新しい株を増やすことができますので、ぜひ試してみてください。
まとめ
コウヤノマンネングサは夏の暑さ、乾燥、風通しの悪さに弱いため、この3つのポイントに注意して育てましょう。
- 夏場の暑い時期は極力涼しい場所に置く
- 水分をしっかり与える
- 密閉容器などの場合は毎日空気の入れ替えを
- 倒れたり葉が圧迫されるなどストレスにも気を付ける
- 茶色に変色した場合でも、そのまま育ててあげると新芽を出しますので諦めずに育成してあげましょう。
- 茶色に変色した株は、カットして蒔きゴケに。増やすことも可能です。
このようなポイントを踏まえてあげれば、コウヤノマンネングサを上手に育てていくことができると思います。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
当農園では、自然に自生するコウヤノマンネングサの乱獲などにより絶滅から守るため、栽培されたコウヤノマンネングサをみなさんにお届けできるようにし、自然採取されるコウヤノマンネングサが少しでも減らせられるようにという想いから、コウヤノマンネングサを栽培苔の一つとして選定し栽培しています。
1日も早く、品質の高いコウヤノマンネングサが栽培できるよう取り組んでおります。
最後までブログをご覧頂きありがとうございました。
コウヤノマンネングサの栽培に成功しました
2021年5月より、念願のコウヤノマンネングサの栽培に成功し販売中です。
コウヤノマンネングサを使った苔テラリウム制作キットも販売中です。
ありがとうございます。
オンライン講座、毎月開催!
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毎月開催していますので、気になる講座があれば一緒にテラリウムを作って楽しみましょう!



